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■[ルポ]極東最大の米軍事基地に変貌する岩国

2017.01.23 ハンギョレ新聞日本語版

http://japan.hani.co.kr/arti/international/26333.html

岩国米海兵隊基地ルポ 
米国以外で初のF-35配備…東アジアの戦略的バランスが変化 
安倍晋三首相の母方の実家と安倍家門の地域・政治的故郷
22日午前、山口県の岩国米海兵隊航空基地の正面の様子。星条旗と日の丸が並んで掲揚されはためいている=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

「あそこにありますね。あの遠くの丸い屋根の下の黒い物体。見えますか?」

21日午前10時、米海兵隊岩国航空基地の滑走路を眺望できる堤防の上で、9選目の市議会議員である大西明子議員(72)が基地の方向を指さして説明を始めた。今日は土曜日だから米軍は休みです。今日F-35Bが追加配備されることはなさそうです。18日午後、初めて2機が到着した日、皆でここで写真を撮りました」

極東最大の軍事基地に変貌しつつある日本の山口県にある岩国基地は、瀬戸内海に面していた。岩国市内を東に流れる今津川と門前川が海に流れ込む三角州に位置した基地には、長さ2440メートル、幅60メートルの広大な滑走路が造成されており、片隅に戦闘機を1機ずつ納められる丸い格納施設が目立った。格納施設の下にうずくまっている黒い小さな物体。米日同盟と中国の対立が激化している東アジアの“戦略的バランス”に大きな変化をもたらす米海兵隊用最新鋭ステルス戦闘機F-35Bだった。

大西議員は「外部ではF-35Bの配備に関心を持っているが、地域住民の立場では本当の問題はこれから」と話した。2006年5月に確定された在日米軍再編計画に基づき、神奈川県厚木基地に配備されていた第5空母航空団(米空母ロナルド・レーガンに搭載される艦載機部隊)が、今年11月から2018年5月まで3回にわけてここに移されるからだ。

現在、岩国にはFA-18スーパーホーネットと垂直離着陸が可能なAV-8ハリアーなど攻撃用戦闘機で武装した第12海兵航空群が駐屯している。第5航空団の戦力が加われば、岩国に配備された航空戦力は現在の2倍である120〜130機(嘉手納基地は100機あまり)に増えることになる。沖縄の嘉手納を上回る極東最大の軍事基地に変貌することになる。F-35Bと中国側に前進配備された米空母戦力が以前よりも迅速に、朝鮮半島から南シナ海にかけての東アジアのさまざまな事態に介入できるようになる。

21日午前10時、岩国市の中心に位置する愛宕山神社前の公園で行われた住民たちの米軍基地反対集会で岩国市民の戸村良人さんが岩国基地周辺で自分が撮影したさまざまな種類の米軍機について説明している=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

興味深いのは、地域住民の反応だった。会う人々に基地が極東最大の軍事基地に変わりつつあるという事に対する意見を聞いたが、「そうですね、大変ですね」と言うばかりで、はっきりした反対意見を言う人々を見つけられなかった。

地域の市民団体である「愛宕山を守る会」の岡村寛代表(73)は「ここの人たちは、明治維新の時から日本を導いてきたのは自分たちだという自負心が強い。8人の総理大臣を輩出した地域なので、何でも国家に協力的だ」と語った。この地域は安倍晋三首相の母方の祖父である岸信介、大叔父である佐藤栄作の選挙区であり、現役議員は安倍首相の実弟である岸信夫外務副大臣だ。

【画像】岩国市を含む山口2区は、安倍晋三首相の弟の岸信夫の選挙区だ。市内のいたるところで「日本を守り、未来を拓く」という岸議員のポスターが目につく=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社


【参考画像】山口県田布施町と岩国市の位置関係(提供山崎康彦)


日本共産党の大西明子議員が岩国基地を眺望できる堤防の上で基地についての説明を続けている。写真ではよく見えないが、滑走路のそばの円筒型格納施設の下にF-35Bが置かれている=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

【画像】岩国市民の戸村良人さんが18日午後に撮影したF-35Bの姿=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社


しかし、住民が基地の拡大と機能強化を歓迎しているわけではない。井原勝介前市長時代の2006年3月、米軍部隊移転の賛否を問う住民投票で90%が「反対」を選択した。すると、日本政府は井原市長を屈服させるため、2006年12月当初約束していた市役所補助金35億円の支給を中断した。井原市長は2008年2月、再信任を問うために辞任後、再選挙に出たが、国会議員を辞めて市長に出馬した福田良彦現市長に惜敗した。以来、住民の住宅団地として開発が始まった愛宕山周辺地域は、移転してくる米軍将校たちのための高級住宅地に用途変更され、工事が進行中だ。

岩国市は現在、日本政府が提供する基地再編交付金に揺れている。村には新しいごみ焼却場、消防防災センターが建てられ、周辺地域に生息する天然記念物である「シロヘビ」(白蛇)のための観光施設も作られた。米軍基地反対運動に参加している住民の松田一志さん(59)は「米軍駐屯による被害が急増するだろう。もう遅いなどと言わないで、今からでも闘わなければ。韓国の星州の住民が見せてくれた闘争の意志を日本人も学ぶべきだ」と話した。

文・写真 キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr

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