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ようこそ、穂の国富士見!!!




MAD
こんばんは 今週も『進入禁止地帯』へようこそ
このコーナーでは、毎週、世界各国のホットなイシュウを取り上げ、
その国ではタブーと言われる視点から問題に切り込み、真実に迫ります。
今週のトピックは、最近日本を騒がせている、検察と『特捜』の問題です。
日本の検察は、先進諸国では最強の権力集団です。公訴権のほか、捜査権や逮捕権を持
ち、捜査から起訴、公判を担当しています。そして実質的には、刑確定後の刑務行政も管
轄に置いているのです。
この検察の中にあり、政治案件を扱う集団が特別捜査部,いわゆる『特捜』です。いま、
この特捜が、日本で注目の的となっています。
フランスや他の先進諸国では、捜査権と検察権が分立しているのは偶然ではありません。
歴史的な発祥はほぼ偶然でありましたが、これらの権力は『自由』を維持するため、意図
的に分離されているのです。

では、自由とは一体何でしょうか?
さまざまな定義がありますが、最低限として言えることは、すべての『恣意的』な
強制が不在であることが必要条件です。
フランス革命を経験した私達にとっては当然なことですが、民主主義は単なるシステム
ですよね。達成する目的がなければ、高コストで時間のかかる意味のないシステムです。
そして通常、先進諸国では、個人の自由を守るために捜査権と公訴権が分離されている
のです。
自由の歴史を振り返るとき、私達は近代的自由のルーツをイギリスのマグナカルタ以前の
ヨーロッパにみいだすことは、ほとんどできません。
元々自由の初期概念は、ギリシャ時代に発展しますが、その後、絶対主義の台頭により
風前の灯火と化してしまいます。
フランス革命前、フランスの哲学者達はイギリスの自由に憧れます。
なぜイギリスには自由があり、フランスには自由がないのか 
 。



当時、この疑問を解く為にイギリスに旅立ったのがモンテスキューでした。
そしてモンテスキューは、イギリスで自由を維持する為の重要な原則を発見します。
それが権力の分立です。
モンテスキューとアメリカ憲法の起草者達は、この権力の分立の原則を自由を守る機能と
して、世界初の成文憲法であるアメリカ憲法のなかで明文化します。
立憲主義は、権力の分立、制限された政府、そして個人の自由を意味したのです。
この動きはその後大陸の渡り、そして我々は、フランス革命によって権力の分轄をを実現
し、自由を享受する体制を創り上げてきました。
しかし、生死をかけて戦い、自由を勝ち取ってきた欧米諸国とは異なり、日本では、そも
そも自由という言葉さえ19世紀後半まで存在しませんでした。
思想家福沢諭吉がジョンスチュワートミルの『自由論』を訳したとき、初めて自由という
言葉を創ったのです。

日本では、自由の概念が希薄なため、特捜への権力の集中がもたらす様々な弊害は、
『権利』や『正義』という観点でしか議論されていません。
『自由』という目的がまったく抜け落ちていて、明確さを欠いているようです。
また日本では、最近、任意に選出された民間人による検察審査会が、被害者を強制的に
起訴できるという制度が始まりました。 しかし、ここでも日本人は、市民が『自分たち
で決定する自由』と、『個人の自由』を勘違いしているようです。
起訴判断が明らかな誤りでも、被害者には決定の是非を問う権利さえなく、審査会の議事
内容は非公開なのです。『個人の自由』を無視した理不尽さは、まるでフランス革命時の
人民裁判みたいです。
歴史的には、すべての人に同一の法を適用し、すべての法的特権に反対することによって
民主主義と自由主義は緊密に結びつきました。
しかし、自由主義は、政府の機能や権力が制限されることに関心を持ち、民主主義は誰が
政府をするかという問題に関心を持っています。


従って、自由主義は、すべての権力が、たとえ多数派の権力でさえも、制限されることを
要求しますが、民主主義は、現在の多数派意見が政府権力の正当性の唯一の基準と見なす
わけです。
日本では、自由と民主主義の理解が混乱し、検察審査会も、それ自身をチェックする機能
がなければ、かえって国民の自由を脅かすシステムであるということも理解されていない
ようです。
今日は、日本の検察や特捜が抱えるこうした問題に迫るため、実際に日本で弁護士として
活動されてきたベルナール弁護士にお越しいただいております。
こんばんは、ベルナールさん。ベルナールさんは、日本で弁護士として活動するなかで欧
米諸国と、どのような違いや問題を経験されたのでしょうか。
日本の検察や特捜の問題は、日本の内政問題ですので、基本的には我々とは直接関係のな
いことですが、しかし実際問題、外国人が被疑者となるとき、もし同じことが本国で行わ
れたとしたら、重大な人権侵害となるであろう状態に非常に頻繁に直面します。

この問題は、これまでほとんどの日本人は気付いていませんでしたが、とても根が深く、
また幅広い問題です。
私はこの問題のルーツは、法的枠組み、法曹界の構造、マスコミ、そして外圧の4つがあ
ると考えています。
まず、法的な枠組みからお話ししますと、日本の憲法では三権分立が謳われており、検察
は我々と同じように、検察庁法により法務大臣の指揮監督をうける、一行政機関として位
置ずけられています。 しかしこの検察庁法や刑事訴訟法は同時に、検察が自ら捜査した
り、警察の捜査を指揮する法的根拠を与えています。我々にとってはビックリですが、法
律がそうなっているんです。 しかもさらに驚くことは、検察は被疑者の身柄を最大22日
間にわたって警察の留置所に拘束し、弁護人の立ち会いなしに被疑者を取り調べることが
できます。 被疑者にはこれを拒む権利がありません。
加えて、日本の検察は起訴便宜主義をとっているため、起訴するかしないかの判断は基本
的に検察官に委ねられています。このため検察官は尋問の際、この判断を威嚇として使い
ながら、証言を自分たちに有利な方向へ誘導することが指摘されています。これは特に、
本命の被疑者を有罪に持ち込む為に、証人に対して行われています。 また実際、自白し

ないのなら家族を起訴するぞと脅したり、証人に対して、検察に有利な証言をすれば起訴
をしないなどと脅迫めいたやり方で尋問が行われている問題が頻繁に報告されています。
なぜ、そのようなことが可能かというと、これは日本に独特の極めて不公正と思われる慣
習なのですが、日本の裁判では、被疑者が公判で供述を翻して無実を訴えた場合、裁判官
は通常、自白があるという理由だけで調書を信用するのです。 この為、日本では起訴さ
れた99%以上が有罪になるという、我々にとっては信じがたい『調書裁判』というのが行
われています。
検察官の立場からは、自分たちに有利な調書さえとってしまえば、ほぼ有罪が確定するた
め、無理なことをしてでも、自白をとろうとするわけです。
さらに日本では、裁判で起訴事実を否認し続けると保釈を認めないという『人質司法』と
いう実務の運用がなされています。このため、被告人としては長期間にわたって身柄を拘
束されるという危険性を覚悟しなければ、無罪主張すらできないという状況にあるのです
本当に信じがたいですが  。

2つ目の問題は、日本の法曹界の構造的な問題です。検察は、法律上は、国家行政組織法
の定めるところの法務省の『特別の機関』であり、法務省の傘下にある一組織です。 し
かし、実際には、法務省の主要な部局は検察官が占めているため組織関係は逆転している
のです。 
また、通常日本の役所では事務方トップは事務次官ですが、法務省だけその上に、最高検
の次長、東京高検長、検事総長と、検察官が占める3つのランクがあるのです。 つまり
法務省は検察官が仕切っている役所なのです。 
そしてさらに重大なことは、裁判所との癒着です。日本では、判検交流といって一定期
間、裁判官が検察官になったり、検察官が裁判官になったりするなど、検察官と裁判官の
人的交流が行われており、これが癒着を生む温床となっています。
また、日本の役所では、天下りは非常に重要なことですが、裁判官の退職後の天下り先は
実は検察官が世話をしているのです。このほか、何かにつけ検察の主流が資金を作って、
裁判官の面倒を見ているのです。

一方、日本での立法過程は役人に丸投げ状態で、国会は役人から上がってきた文章の
チェック機関としか機能していません。法務省の場合、民放、刑法、商法の基本法制の立
法にかかわる法案作成に携わっていますので、少なくともこれらの法律に関するマターで
は、実務上、三権が検察に集中しているという信じがたい事実があります。
日本における99%以上の有罪率もこれによって支えられているわけですね。
3つ目の問題は、これも闇の深い問題ですが、マスコミの問題です。
日本には記者クラブというクラブがあり、政府の取材は系列を考慮すると、たった8社が
独占的に行っています。 記者クラブは、欧米諸国にあるプレスクラブのような交流を
目的としたクラブとは異なり、非常に排他的な組織で、大手メディア以外、雑誌社や
フリーの記者などは基本的に入会できません。
日本のメディアにはこの既得権のために、競争原理がはたらかず、大手メディアは政府の
事実上の宣伝部門と化しています。日本のメディアが政策論をほとんど報道せず、大衆紙
のように政局だけをおもしろおかしく報道しているのはこのためです。
報道内容は非常に低レベルです。

検察取材を担当する司法記者クラブの場合、この問題はさらに深刻です。
日本の新聞が最も恐れるのは『特落ち』といって、他社が報道している特ダネを自社だけ
逃すことです。 これは記者や編集部にとっては死活問題です。
検察はこれをよく知っていて、自分たちが伝えたい通りにマスコミが伝えないときや、
自分たちに不利な情報が流れると、情報をわざとそのメディアの記者に伝えなかったり
するなどのいやがらせを行い、メディア全体をコントロールしているのです。
最近では、検察に批判的な非常に人気が高かった政治番組 『サンデープロジェクト』と
いう番組が、検察から嫌がらせを受けた親会社、朝日新聞からの圧力によって、終了に
追い込まれるということもありました。
検察は、メディアから守られるなか、被疑者を起訴する前に一方的に被疑者に不利な情報
を流し続け、全国ネットを使って悪者のイメージを作り上げます。
これは日本では本当にひどい人権問題です。推定無罪という民主主義の原則は、全く無視
なのです。メディアは、情報源を語りませんので、被疑者は言葉の暴力を受け続けるほか
ないのです。
日本では、メディアは本来果たすべき権力をチェックする役割を果たしていないというこ
とですね。メディアは、戦前の反省をしたはずだったのに、戦後も全く変わっていない
のが実情です。
本来であれば、メディアと一体になった裁判前の社会的抹殺が横行するのであれば、民衆
にとっては、『バスチーユ監獄襲撃』だけが残された最後の手段だと言えそうですが、
どういうわけか日本人は、全く気付いていないようです。
もう一つ、メディアが悪いのは、一行政作用である検察や特捜に対して、司法機関として
のイメージを作り上げ、本来、国会やメディアからチェックを受けるべきものを、タブー
として世論を操作していることです。
準司法機関といえども、行政作用である以上、政治的であることは完全には排除できませ
ん。 こんな当たり前のことが日本では通らず、検察や特捜は正義の執行者として祭り
上げられているのです。 
それから最後の4つ目の問題は、アメリカからの外圧の問題です。
これは余りにも大きな驚きですが、日本は独立国であるにもかかわらず、その司法機関や
検察がアメリカからの非常に大きな影響下にあるのです。





もともと特捜は、GHQが日本軍の隠し資産を探し出す為に組織した部署です。
GHQは、民主主義国家機関としては強力すぎる検察が、戦前よりもっていた捜査権を取り
上げとうと考えていたのですが、米国が日本をコントロールするのに都合がいいことが
分かり、残しておいたのです。
以降、アメリカとの関係は密接で、現在でも出世組は一等書記官として必ずアメリカに
外交官として駐在し。この間さまざまな関係を深めています。
アメリカに黙って中国との国交正常化を行った故田中角栄総理や、第7艦隊以外の不要論
や米軍基地削減を唱えた総理就任直前の小沢一郎前民主党代表は、アメリカの指示といわ
れる特捜の捜査によって政治生命が絶たれているのです。
圧力は、検察だけではありません。何と、裁判にも及んでいるのです。例えば、有名な
砂川事件では、駐日米国大使が、最高裁判所の判事と直接面会し、指示をしてことが
アメリカで開示された公文書で明らかになっています。
日本ではほとんど報道されませんが、こうした公文書がアメリカでどんどん開示されて
いるのです。

このほか、アメリカは、例えば、女子大学で政治学を排除し、できるだけこうした問題に
興味をもたなくするように仕向けたり、検察を通してメディアをコントロールし、国民が
その存在を気付かないように仕向けるなど、想像もつかないような、非常に幅広い情報戦
を行っています。
余談ですが、マッカーサーが日本を去るとき、当時の吉田茂首相に言った最後の言葉とは
『貴方はグッドプライムミニスターだ。でも悪いけど、日本人の魂は抜かしてもらうよ。
 グッドバイ』だったそうです。
アメリカにコントロールされていても、それに気付こうともしない多くの日本人を見てい
ると、本当に魂を抜かれてしまったようにさえ見えます。
最後にですが、この問題を解決するには、まず、マスコミが戦前、政府と一緒になって
戦争を煽ったことを真に反省し、真実を伝えることが大事だと思います。そのためには、
一刻も早く記者クラブを廃止しることが必要ですね。回り道かもしれませんが、これしか
方法はないと思います。
日本の検察の問題は本当に深刻ですね。
ベルナールさん、本日はどうもありがとうございました。


権力が分轄され、自由があるフランスと私達の先人にもっと感謝しないといけないですね
それではみなさん、また来週。ごきげんよう。
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